2016年11月15日

企業による消費者への過剰サービスは労働条件の改善の為にも止めるべきだ

 電通の新入社員の自殺事件が有り、再び企業の労働状態の実態に注目が集まった。
 今朝、ヤフーのトップに同様の件のニュースが挙がっており、朝のラジオでも取り上げられていたので僕も記事にしておこうと思います。




 再配達や年中無休、本当に必要ですか? 過剰品質が働く人を追い詰める<AERA>(dot.)

 何度でも無料で頼める再配達に、年中無休のスーパー。当然のサービスだと思っていませんか?

 いま、午後8時3分。

 会社員の女性(38)は、都内のオフィスでパソコン画面に表示されている時刻を確認した。

「今日受け取るのは、諦めよう」

 会社から女性の自宅マンションまでは約1時間。昨日ネットで注文した10キロの米の配達を、今日の「午後8-9時」と時間を指定して依頼していた。でも、仕事が終わらない。夫も帰宅は遅くなるという。

「明日の朝食はパンにしよう。お米は再配達してもらえばいい」

 数年前までは買い置きしていたトイレットペーパーや米、水などを、最近はなくなるギリギリのタイミングでネット注文するようになった。注文した翌日には間違いなく、早ければ当日にも商品が届くので、収納スペースの少ないマンション暮らしには大助かりだ。重いものは玄関の中まで運んでもらえるし、「午後8-9時」の指定にすると、9時ぎりぎりに来てくれるのもありがたい。受け取れなくたって、何度でも再配達を頼める。

「ネット通販を近所のスーパーのように利用していて、もう宅配なしの生活は成り立ちません」

●8時50分に帰ったのに

 ネット通販の一般化で、国内の宅配便の数は年々増加している。昨年度は37億4500万個と過去最高。5年前と比べて16.3%も伸びている。

 宅配便数の増加とともに、注文の内容も水や米などの重いもの、肉や魚などの生ものが増え、配達員の負担は増した。

「なにより、再配達と時間指定のサービスが配達を難しくしています」

 大手宅配会社の首都圏営業所勤務の配達員(61)はそう話す。

 時間指定があるために、効率のいいルートで回ることができない。一つの荷物を届けるために1時間近く道端で待機することもある。同僚は午後8時すぎまで待って配達したのに、

「仕事を終わらせて8時50分に帰宅したら、8時15分に不在票が入っていた。どうして9時に配達できないのか」

 というクレームが届いた。再配達依頼の電話で、

「出かけるので今すぐ配達して」

「今日は午後4時から4時半の間に届けて」

 と細かい時間を指定されるのも、とてもきついという。

 最近まで10年以上、宅配会社のセールスドライバーとして働いていた30代の男性は、転職の理由をこう話す。

「年々苦しくなってきて、あと30年これを続けることが想像できなくなった」

 朝は7時すぎに営業所に出勤し、荷物を積み込み、8時に配達に出発。1日100~150個の荷物を配達し、同時に集荷もする。「午後8-9時」という時間帯には20~25個配達しなければならないことが多く、間に合わないこともあった。営業所に戻って伝票の整理や着払いの精算などを済ませると、退社時間は午後10時を過ぎる。

●時間指定なのに不在

 生ものの配達では不在の家に何度も足を運ぶことも少なくない。受け持ちエリアには古い大きな団地があり、エレベーターはない。東日本大震災以降、水の注文が一気に増え、2リットル6本入りケースが二つくくられた25キロ弱の段ボールを5階まで運ぶこともある。時間指定通りに訪ねているのに不在だと、「ふざけんなよ」と心の中で叫びたくなる。男性は言う。

「荷物は人の手が届けるもの。利用者が便利になるほど、運ぶ側の労働環境は劣悪になっていくんです」

 国が2014年に実施した調査で、宅配便の2割が再配達になっていることがわかった。さらに15年の調査では、1回目の配達で受け取れなかった理由について、「配達が来るのを知っていたが再配達があるので不在にした」という人が4割もいた国の試算では、トラックドライバーの1割にあたる年間9万人に相当する労働力が、再配達に費やされている

●そこまでするべきか

『仁義なき宅配 ヤマトvs佐川vs日本郵便vsアマゾン』の著者で物流に詳しいジャーナリストの横田増生さんは言う。

時間指定や再配達は企業側から言い出したサービスですが、利用者はその裏でドライバーたちがどれだけ大変な思いをしているのか、想像できていない。『送料無料』が当然と思う人も増え、発送する企業による宅配料金のディスカウントでドライバーの給与も下がっています」

 ネット販売をする側も苦労している。

 都内にあるアパレル企業では、通販事業者に購入者の問い合わせには24時間以内に回答するよう求められ、社員と役員が交代で土日や祝日も出勤するようにした。確かに、アマゾンの出品者向けサイトにはこうある。

「お問い合わせは、週末や祝日を含め24時間以内に回答してください」

 アパレルの男性(49)は言う。

「そこまでしなければいけないのか、と疑問に思います」

 年を追うごとに過剰になるサービスと、実態を知らずにそれに甘える消費者。同じことは、小売りの世界でも起きている。

 大手スーパーが経営する地方都市の大型ショッピングモールに中古品売買の店を構える男性(59)。店の営業時間は、スーパーに合わせざるを得ず、朝9時から夜9時まで。しかも年中無休だ。夫婦と息子、パート2人で店を回すが、親類の結婚式や葬式にも家族全員では参加できない。盆も正月もなく、旅行も難しい。それでも、セキュリティーや顧客にとっての利便性などでメリットが大きく、スーパーを出ていけないという。

●1日休んでもプラス

 大型スーパー内で働いて37年。当初は休館日が年に36日あったが徐々に減り、00年に大規模小売店舗法が廃止されて閉店時間や休館日の規制がなくなった結果、現在は0日だ。長時間労働による日々の疲労に加えて売り上げ不振が続くと胃が痛み、食も進まなくなる。男性は、

「スーパーは大手2社の競争が激しく、現場の人たちに無理を押し付けている。百貨店、スーパー、コンビニにはそれぞれの役割があり、スーパーが年中無休で朝から夜まで店を開ける必要もないと思うんですけどね

 とぼやいた。

『日本の消費者はなぜタフなのか』の著書がある中央大学の三浦俊彦教授は、

「もはや知られたことですが、日本の消費者は商品やサービスへの要求が世界一厳しい

 と指摘する。そんな消費者がいたから日本の製造業は競争力をつけることができたのだが、

日本企業は先回りして商品やサービスを開発することで、消費者を甘えさせてしまっている

 消費者の利便性向上や売り上げ競争のために、サービスは手厚くなる一方。だが、それを見直そうという動きも、少しずつ出始めている。

 今年1月、百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングスが首都圏の伊勢丹、三越の計8店舗で前年まで初売りを行っていた2日の営業を取りやめた。従業員らの負担軽減が目的だ。5年前、老舗「虎屋」の黒川光博社長ら百貨店に出店している企業が「休業日を増やして」と申し入れていた。

 同ホールディングスによると、1月2日を休業にしたことで、社員や出店企業の販売員3万人弱が休めたという。昨年までは初売りの準備で元日も出勤する人がいたが、そんな人たちも休めた。社員や販売員からは「百貨店に入った以上、お正月はないと思っていたのでうれしい」「1月3日の初商いはやる気を持って臨めた」という声が寄せられたという。顧客からのクレームもなく、1月2日の売り上げが8店舗でゼロになったにもかかわらず、1月全体の売り上げも前年同月比でプラスだった。

 来年は1月2日に休む店舗を首都圏では9店舗に増やし、全国でも新たに札幌、名古屋など6店舗の休業が決まっている。

 オーストリアに住む団体職員の女性(51)は3年前に渡欧した当時、ほとんどの店が日曜に営業しないことや、不在の場合は宅配物を自分で取りに行かなければならないことに戸惑った。でも、慣れるとそう困ることではなかったし、日曜日に公園でくつろぐ家族連れを見ると、

「あの人もスーパーの従業員かもしれないな」

 と、自分も幸せな気持ちになるようになったという。

「サービスを提供してくれる人にも生活がある。それを尊重しようと思えば、期待するサービスが受けられなくても不快だと思わなくなりました」

 電通の新入社員の女性の過労自殺が労災認定された翌月、あるブログが話題になった。筆者は約15年間、コピーライターとして電通に勤務し、昨年退職した前田将多さん(40)。「広告業界という無法地帯へ」と題して、

恐ろしいのは電通でもNHKでも安倍政権でもない。どこにでもいる普通の人たちだ

 と書いた。

●相手の時間を奪わない

 電通が午後10時以降の残業を禁止したことについては、

「クライアントは容赦なく『あれしろ』『これもしろ』『明日までに』『朝イチで』と押し付けてくる。どうすればいいというのだ」

 前田さんは電通にいたころ、ある企業の幹部に、「出演する女性の帽子が気に入らない」とでき上がったCMの撮り直しを求められたことがある。衣装はすべて事前にチェックを受けていたし担当者には撮影にも立ち会ってもらったのに。意味のある仕事なら長時間労働も苦ではなかったが、納得できない仕事で徹夜するのは苦しかった。

 前田さんは自戒も込めて言う。

「クライアントは『神』とされ、現場の社員や協力会社のスタッフはむちゃな要求に非人間的な努力で応えている。でも、彼らも人間です。何げない要求が相手の時間を奪い、追い詰めることがある。みんな、そのことを想像してほしい

(編集部・深澤友紀)

※AERA 2016年11月21日号(引用終り)


 この記事に書いてあることには全面的に同意できる。

 記事中で例に挙げられた宅配業のクレーマーみたいな客はやや極端な例で、客の多くがそうでは無いだろうとは思うが、極めて少ないというレベルでも無いのだろうと思う。

 この記事中にも有るように、挙げられたような過剰サービスを提案して来たのは常に企業サイドなのは事実だ。 だから一部の消費者は『オマエラが自分で提案しておいて何言ってんだ』という考えをする人も居るだろう。 しかしそれはあんまりでは無いだろうか?

 外国人が日本へ旅行に来て、サービスの決め細やかさを絶賛することは良く有る。 それは誇らしいことでは有るので、無理をせずにできることはこれからもやれば良いだろう。 しかし、無理しなくとも、日本のおもてなしの心は、必ず外国人旅行者に届いているはず。 無理してまでやっているサービスを無くしたところで外国人観光客が減ることは無いだろうと思う。
 逆に記事中のオーストリアへ移住された方のように、行ってしまえば少々サービスの質が落ちても、次第に慣れる。 最後には『日曜日に公園でくつろぐ家族連れを見ると
「あの人もスーパーの従業員かもしれないな」と、自分も幸せな気持ちになるようになったという。』と、素晴らしい気持ちになれる。 そのように想像できるというのは素晴らしいことで、どちらも幸せになれるのだから本当に素晴らしい。 最後に電通を辞めた方も言っているが、色々なことを想像して欲しい。 これまでしつこく言って来たが『想像力』とはとても重要なことなのだ。

 我々建設業の場合、まず第一には見積もりが無料だというのは大問題だと思う。 それはここでも僕は以前から何度も書いて来た。 例えば、見積額の中のパーセンテージを決めて、見積り依頼主は見積必要経費として支払うべきだ。 小さい工事で有っても、見積りだって現場調査をしたり、見積書を作成したりと、実際に経費はかかっている。 それが億単位の工事となれば簡単に百万円単位の見積り経費がかかって来る。 自由競争入札の場合、顧客からすれば『見積りしたいと言って来たのはそっちだろう?』と言うことなのだろうがそれならば顧客側で見積りを依頼する業者を3社くらいに絞るべきだ。 それを超える業者に見積り依頼をかけた場合、全社に一定の見積り費用を支払う覚悟で見積り依頼を出すべきだ

 しかも、大きな工事でも見積り期間が2週間程度ということは良く有る。 2週間くらいで10億とかの見積りをすればそれは見積り項目を落とすことだって出て来る。 そうすると顧客側は『図面に書いて有ることを見積り落とししているのはあなたがたの責任でしょ?』とあっさりと言ってのけるのがほとんど[E:gawk] 言ってはなんだが今時まともな設計図を書ける設計事務所は極めて稀で、有り得ないような納まりや図面の不一致、それどころま図面の枚数自体が異様に少なかったりで、見積り期間中に質疑をしてもまともな答えが返って来ないなんてことも日常茶飯事で、設計がクソなのもなぜか施工会社がかぶらされることが多い。(請負額がケタが違うということも有るし、何より今後の営業の為に設計事務所には媚を売っておきたい意向が働くため) それは引渡し後のクレーム対応に関してもそう。 設計事務所側や顧客・使用者側に問題が有っても、施工会社の責任で修繕させられることは非常に多い。 この文字通りの『請負』(請けたら負け)関係をなんとかしないことにはどうにもならない

 せめて官庁工事だけでも見積り有償化を進めないことには請負業者は泣くばかりだ。 官庁が先頭を切って進めないことを民間が進めるはずは無いのだから。

 問題はお金だけでは無い。
 工期設定はある意味もっと深刻な問題だ。
 顧客の計画の悪さから、施工に関わる工事期間が極端に圧迫されることは良く有るどころか常態化していると言って間違いない。 安全面や品質面など、管理すべき内容や書類は増える一方で有るのに、顧客要求に応えることで工事を受注したいものだから施工会社は仕方なく請ける。 やれば無理をしてでもなんとかやってしまうものだから、次の要求はもっと厳しいものとなって行くのだ。まさに悪循環。
 良い品質の建物を造るには、適正な費用が必要なのももちろんだが、何より適正な工期が有ることが重要だ。 工期が短ければウルトラCもしなければならなくなるし、無理もしないといけなくなる。 そうなると人は疲弊するし、ミスも増える。 もちろん安全面は言うまでも無く、現場での事故が増える可能性が極めて高い。 横浜のマンションの杭の問題や、姉歯の問題だって、結局元を辿れば過剰サービスの供給が要因の一つになっている可能性は高い。

 つまり、国などの行政機関が主導して、適正な工期による発注のガイドラインを作らないことには我々請負業者の労働条件の劇的改善は望めないということだ

 何にしても重要なのは、ニュース記事中にも有るように『相手の時間を奪わないこと』だ。 その為にはそれを想像する想像力が何より重要なのだ。
 サービスが有るのなら受ければ良い。 しかしそれを当たり前と思わず、感謝の気持ちを持って受けることが重要なのではないだろうか?

 ちなみに我が家の娘を見ていると、受験戦争も似たような理由の大きな問題に思える。

 高校受験の塾を見ていると、休日等を利用して、早朝から夜遅くまで塾にスシ詰めとか、冬季休暇時などでは何泊かして連日12時間以上も勉強をさせる塾が有る。 そこまでしないといけないものだろうか? もちろんかかる費用は計り知れない。
 そういう講座が有るのは結局、受験生の親などからのニーズが有るからだろう。 しかし、子供は遊んでナンボだ。 バカみたいに勉強したらバカになってしまうよ。 勉強はできてもまともな心は育たない。 しかし、周りがそうしていると、親だけで無く、子供本人も不安だから行きたいと言う。

 これも行政が進んで制限をかけるルールを作るべきだと思うが、国際的競争力を磨く為にはけしてしないだろうね・・・[E:gawk]

 ますます生きにくい世の中になったものだ・・・[E:gawk]

posted by ちゃんちゃん at 23:23| Comment(2) | TrackBack(0) | くらし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

アメリカの宅配業者なんて凄く乱暴ですよね(笑)
あれはどうかと思うけど、日本は確かにシステムも対応も過剰ですよ。甘やかし過ぎには賛同します。
ただね〜Amazonは「なるべくまとめて希望」してるのに、それには殆ど対応してくれないのが不満。
私は早め早めの注文だから1週間後でも構わないのに、小さい商品が3つも4つも個別に届くのは、お互い非効率。
最近は間を空けて頼むようにしてます。

海外のパブで「お前が受けるサービスの質はお前の態度と俺の気分次第だ」って表示があり大反響でしたけど
基本理念は正しいよね。お互い対等に準ずるくらいの気持ちでいないと、ブラックを生み出すのは結局、普通の人々になっちゃうから。

ファミレスなんかで「そこまで丁寧じゃなくていいよ〜」
と思う反面、こちらが普通にしててもぞんざいな対応のお店(スタッフ)もいるけどね…
程々でいいし、マニュアル通りより、多少はフレンドリーに接してくれる人の方が楽しいかな。
そういうのが余計なトラブルの元、なんて考えるから土下座強要なんてバカやる勘違いが湧くのかもね。
Posted by SARA at 2016年11月17日 13:38
こんばんは[E:happy01]

 amazonってそんなんなんですね。
 逆に融通が効かないんですね・・・[E:gawk]

> 「お前が受けるサービスの質はお前の態度と俺の気分次第だ」

 これ、良いですね[E:coldsweats02]
 『俺の気分次第だ』は余計ですが、前半はそれでOKだと思いますよ[E:happy01]
 お客様は神様では無いんだから、対等ですよ。 あくまで。 神様だと思われたいなら法外に儲けさせてからですよ。

 土下座強要ねえ・・・
 あれは目立ちたいだけでは無いですかね? 『俺ってスゲーだろ?』みたいな[E:gawk] 実際は『俺ってスゲーアホだろ?』と自分で拡散しているだけなのにね[E:bleah]
Posted by ちゃんちゃん at 2016年11月17日 19:02
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