TVの2時間程度の放送内では紹介し切れない内容が沢山有り、大変読み応えの有る内容でした

トップを争う選手同士のかけひきとか、望月選手の無補給完走挑戦のキツさ、それでも最後は望月選手が来るだろうと全選手が警戒していることとか、そういった部分はTVでも放送されましたが、やはり2時間の枠では全く収まり切っていないですね。 この本を読むと、そういった部分が良く解ります。
選手同士がリスペクトしあって気遣いしあうところとか、その選手達を撮影するスタッフ、特にカメラマンの気遣い、でも時には選手達から良いシーン、言葉を引き出そうとする攻める部分とか、それぞれの心の中も凄く濃く描写されています。
優勝された垣内選手などは、実は2014年大会の選考会をパスしたものの、抽選で漏れてしまい、その後くさってしまって2016年大会にはエントリーもしなかったとか。
そういうものを乗り越えての優勝だったと改めて知ると、比較的順調に優勝したように見えた彼のゴールシーンもなかなか感動するものが有りました。
それ以外の各選手のゴールシーンにも改めて感動、じ~んと来るところは沢山有りました

石田選手は血中酸素濃度が低く、高山病になり易い体質だそうで、今大会も高山病で苦しまれていましたが、大会中、他の選手にそういった苦しさや痛みも含めて『全部楽しい』と言っていたとか。 確かに石田選手が『もういやだ』とか、『もうやめよう』と言っているシーンは記憶に有りません。 この『全部楽しい』というセリフには一緒に走った選手も興奮されていました。
途中、トップを走り、最終的には3位でゴールした近内選手は5年前にはハーフマラソンに2時間半かかっていたとか

ちょっとこれには大きな驚きでした。
自慢じゃ無いですが、僕はハーフマラソンに2時間かけたことはただの一度も有りません。 まあ、初ハーフ挑戦までに1年と、充分な準備をして臨みましたが。
少なくとも5年前には僕よりレベルの低かった普通のおっさん(といっても弁護士さんなので僕なんかとは全然違う凄い人なんですが)がTJARを上位で完走するって・・・ 驚きを通り越してまるで夢を観ているかのようです

他にも新たに知ることとなったことは沢山有りました。
・望月選手のように、自身に制限を設けて参加していた選手が他にも居たこと。
・山小屋の食事代を払い忘れて逆走した選手が居たこと。(笑)
・鹿野選手以外にもゴール後にプロポーズした選手が居たこと

・etc
今大会出場者達は、また次回も参加したいという方も居れば、運営側に回りたいという方、新たなチャレンジを考えている方など、皆さん色々考えられているみたいです。
ちなみに最高齢完走を果たした竹内選手は次回大会も願書を出す意向だとか。 出場なれば60歳

竹内選手に次いで高齢の岡田選手はビブスナンバー30番での完走が目標だとか。 でもビブスナンバーは年齢順なので、竹内さんが出場する限り岡田選手は30番を付けることはできないという

この本は、TJARファンにはオススメです

この本を読み終わり、改めてTJAR2018の放送を観直しましたが、改めて感動できました。
個人的には望月さんの帽子に後付けで取り付けられているらしい日除けが気になりました。
発売直後に購入した『TJAR2018大会報告書』には各選手のギアや工夫などが詳しく紹介されているのですが、その日除けについては記載が無いんですよね。 自作でしょうか? 販売されているなら是非購入したいのですが・・・
この報告書には選手の毎日の行動や心中が選手本人により日記帳で赤裸々に記されています。
選手の正確も出ていて、男澤選手なんかはかなり細目に非常に量も多い文章で記されていました。
かなり読み応えが有るので、実はまだ何人も読めていません

冒頭で紹介した本を読み終えたことで興味の湧いた選手も居ますし、そういった選手からでもまた読んで行きたいと思います。
ちなみにこの大会報告書を読んで知ることですが、ほとんどの選手が大会後に無限の食欲に襲われているということ


ちなみにTJAR2018についてはBSで放送された放送に3本のサイドストーリーを加えたというブルーレイが発売されています。
我が家はブルーレイが無いので観れませんが・・・
あ、PCなら観れるか・・・
画質は落ちますが、それでも買っておこうかな・・・
最後に触れておきたいことが有ります。
極度の悪天候の中で開催された2014年のTJARを史上3人目の女性選手として完走された西田由香里さんが、今年2月、中央アルプスで滑落して亡くなられたそうです。
その件についてはTJARのフェイスブックで情報を得てはいましたが、この本にも掲載されていました。
TJARに出場されるような超人でもやはり山では何が有るか解らないということなんですね。 実はTJARを目指す方々が試走で山に入り、毎年のように命を落とされているそうです。
本の中にも有りましたが、短い期間で出場資格を得、選考会をパスすることを目標に多くの方々が策を練って来るそうです。 それがまず選考会をパスすること『だけ』を目的として、小手先の知恵や技術が最近は目だっているとかで、実行委員会の方々も選考には苦慮されているとか。 TJAR完走者ですら簡単に命を落としてしまう3000m級の山々に入るには、確かな技術と知識を時間をかけて習得する必要が有るということですね。
西田由香里さんのご冥福をお祈りするとともに、TJARを目指す方々が実力を超える無理をせず、怪我や事故の無いことをお祈りしたいと思います。