2021年01月05日

箱根駅伝 10区の大逆転劇を数字で検証してみた

 数字で検証してみると、実は意外と可能性は有った逆転劇で有り、僕が唱えた創価大学が逆転された原因も実は的外れな推測でしかありませんでした。
 創価大学の榎木監督、小野寺選手、失礼な推測で記事を書いてしまい、申し訳ございませんでした。
 同時に、読んでいただいた読者の皆様にもいい加減な見解を開陳してしまい、申し訳ございませんでした。

 改めて、その検証結果を記事にして残しておきたいと思います。
 
 
 まずは大逆転劇の主役で有った2名の選手の1万メートルの持ちタイムとハーフマラソンの持ちタイム、そしてそのタイムの際のペースを下記に記します。 タイムのソースは箱根駅伝公式HP掲載のタイムを採用しています。


持ちタイム.jpg


 今回の検証で重要なのは、持ちタイムでは無く、そのタイムの際のペースがどれくらいかと言うことだと考えていました。
 1万メートルでは駒沢大の石川選手の方が1キロあたり4秒速くなっています。 それがハーフマラソンでは1キロあたり8秒の差になっています。
 単純に考えれば、距離適性も有るのかもしれませんが、距離が延びればさらにそのペース差は開くと考えることがこのデータだけ見れば自然だと考えられます。(大学生なのでハーフ経験は少ないだろうとは思うので、精度に問題は有りますが) ハーフマラソンのペース差であるキロ8秒差で単純に10区の距離23キロを掛けると、184秒はその差が詰まる計算になります。 二人のスタート時点でのタイム差は199秒差でしたから、普通に二人が数字通りの走りをすれば、実は最初から駒澤大がなんと15秒差まで迫っていた計算になっていたわけです。 この段階で実はそこまで驚くような『世紀の大逆転』というわけでも無かったことが解ります。 もちろん、そんな数字通りに走っていれば、創価大の往路優勝も総合2位も有り得ない話なので、そう単純な話では無いと解った上でのあくまで数字の上での検証結果ですが。


 で、次に僕が考えた、『創価大はあまりにゆっくりと入り過ぎてしまい、それに身体や心肺が慣れてしまって後半上げられなくなったのでは無いか?』という仮説を検証しましたが、以下の検証でそれが僕の勝手な思い違いで有ることもはっきりとしました。


実戦ペース変化.jpg


 僕はおそらく、創価大の榎木監督は、3分以上という大差を生かし、突っ込ませないどころか、もっとゆっくり入らせたのでは無いかと考えましたが、小野寺選手の入りは、蒲田までの6km弱を3分04秒/kmと、彼のハーフマラソンの持ちタイムのペースより3秒速く入っています。 16.5kmの田町までは3分10秒/kmを切るペースで走ってますので、特にゆっくり入らせたわけでも無いということになります。 その後、ペースはがくっと落ちてしまいますが、それでも23kmの平均ペースは3分11秒/kmと、彼のハーフマラソンの持ちタイム時のペースより遅れることわずか4秒/kmです。 タイムの数字だけを見るとそこまでの大失速だったというわけでも有りませんでした。

 対して駒澤大の石川選手も思ったより突っ込んでいません。 ただ、最初のペースとあまり変わらぬペースでずっと押していくことができています。 彼もハーフマラソンの持ちタイム時のペースより今回のペースは2秒/km遅く。 数字の上で4秒落ちた小野寺選手に比べて落ちるのを2秒抑えたにすぎません。 より自分の持てる力を発揮できたというだけの話ですが、その2秒の差が大きく、23kmでその差は46秒にもなり、結果、逆転してしまったということでした。 本当に、ほんのわずかな差が今回のような逆転に繋がる。 駅伝って恐ろしいですよね。

 あと言えることはやはり追う選手は精神的に有利だということでしょうか。
 首位を走ればテレビ車が風除けになって有利だと言われていますし(もしかして今回は10区の2位駒澤大も同じか? 録画データを消してしまったので解りませんが)、モチベーションの差も有って駅伝ではトップ争いをすることが有利だと言われていますが、2位の選手が首位の選手を肉眼で捕えることができ、かつ、近付いていることが解れば追う選手のモチベーションは上がります。 今回は15km付近くらいから創価大に付いているテレビ車は肉眼で確認できていたと思うのですが、それが徐々に大きく見えて来て、16.5kmの田町辺りでは選手自身も肉眼で確認できたかもしれません。 16.5km地点でのタイム差は1分17秒ですから、距離にしておよそ430m。 まだ結構距離は有りますが、5区・6区以外はほとんどが直線のコースで有る箱根駅伝においては前の選手が見える位置になります。 そういうコース特性もあってか、見えてさえしまえば今回のような逆転は起こりやすいと言えるかもしれませんね。

 また、逐一変化する差が正確かつ瞬時に選手に情報として入って来るようになったことも精神面に与える影響は大きいでしょうか。
 もちろん追う選手にとっては『イケる!』という前向きな気持ちになるきっかけとなりますし、逆にその情報を逃げる選手が知れば一歩間違えば『逃げないと・・・』というプレッシャーにしかなり得ません。 創価大の小野寺選手は脱水などでは無かったという報道も有りますし、だとすれば精神面の重圧が身体を動かなくしてしまったと考えて自然かもしれません。

 全て推測の域を出ませんが、こうやって数字を追うことで知れることも有ります。 フィギュアスケートの採点においても過去に膨大な量のデータを検証したことは有りますが、フィギュアの時のように特に得るものが無かったとしても、こういった作業はして損は有りませんね。
 少なくとも僕の推測は単に創価大の榎木監督と小野寺選手にとって失礼な推測でしかなかったことが解りましたし、駅伝の難しさ・そして面白さを再認識することができたわけです。
 改めて、榎木監督と小野寺選手にはお詫び申し上げたいと思います。 大変、申し訳ございませんでした。


 冒頭に『世紀の大逆転劇というわけでも無かった』と書きましたが、観ている方にとって驚きの大逆転だったことは間違いでは有りません。 ただ、目の前の数字に惑わされず、とにかく今できることを淡々と実施することで、今回のような大逆転劇といわれることが起こるわけで、無理に突っ込ませなかった駒澤大の大八木監督と、それに応えた石川選手は見事だったとしか言いようが有りません。 田町過ぎてからの石川選手はおそらく物凄いランナーズハイな状態に有ったことと想像しますが、そんなアドレナリンの出るような状態はもしかしたら今後の人生において無いことかもしれません。 そう考えればこれ以上辛い思いは無いだろうくらいの経験をした創価大の小野寺選手と、どちらが今後の人生において幸せなのか、単純に言えるものでも無いのかもしれませんね。
 いや、やはり勝った方が幸せですか・・・


 さて、そんな箱根駅伝の10区逆転劇を検証した今夜のランの状況。


 今日の走行距離 : 10.97km
                56分25秒
                 5分09秒/km
                 11.67km/h
 今月の走行距離 : 38.44km


 相変わらずペースは上がりません。
 でも、明日以降は寒くなるみたいですし、風も出そうなので基本的に週末までランオフの予定。 週末のサンクスツアーに向け、間違っても風邪をひいたり、体調を崩すわけにはいきませんので。
 
posted by ちゃんちゃん at 22:11| 大阪 ☁| Comment(2) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
検証ありがとうございます。
まず石川選手が思ったよりよほど冷静に走っていたことが分かりました。
急いで差を詰めたいように思えますが、そうしなかったのが勝因の一つなのでしょうね。
そこに終盤の展開でアドレナリンが出ることで、優勝・区間賞の走りが出来たのだと思います。

このデータは創価大の監督も選手も分かっていたでしょうから3分の差も安心出来ない、
皮肉にもこれが凄まじいプレッシャーとなっていたのでしょうね。

ただ、彼も持ちタイムはチームの中では悪いわけではないので、チーム全体としては9区までが奇跡で、どのチームにもあるブレーキがたまたま10区に出たのが極めて気の毒な結果になった、という面もあると思います。

自分はかつて、神奈川大学と山梨学院大学の無念のリタイアとその後のリベンジというドラマに感動したものです。彼もその道を歩んでほしいものです。
Posted by プー at 2021年01月06日 23:34
 ありがとうございます。

 そうなんです。
 駒大の石川選手が意外と突っ込んでいなかったのもある意味驚きでした。
 正直なところは大八木監督も逆転までは考えず、とにかく石川選手のベストタイムを叩き出すことを目指した結果だと思うのですが、結果的にはそれが功を奏したと言えるのだろうと思います。
 石川選手は後半、徐々に大きく見えて来る中継車にどんどんテンションが上がって行ったことと思います。 それは逆転した際に大八木監督が放った『やったぞ ! お前、男だ!』の一言でピークに達したのでは無いかと思います。

 大八木監督はコメントから10区スタート時点では逆転は考えていなかったと思いますが、僕が挙げたような選手のタイムの資料を持っていないわけは無く、創価大の榎木監督は『普通に走ればなんとか逃げ切れるレベルの差』という認識は有ったかもしれませんね。 なので不用意な突っ込みはさせなかった。 しかし、二人が同じように自分のペースで進んだことで、持ちタイム通りにタイム差が詰まり、各選手はそのタイム差をおそらく認識していたことでは無いかと推測します。 となると、終盤はおそらく小野寺選手には駒大の大八木監督の監督車からの声を聞いていたかもしれませんし、沿道の方からその差の詰まり方を聞いていたかもしれません。 大八木監督の声はどんどん大きくなっていっていたことでしょう。 それが大きなプレッシャーとなり、徐々に身体の動きを奪って行った可能性が有りますね。 心が負ければ身体は動きません。 タイムを狙って走ったことの有るランナーなら誰もが解ることかと思います。

 プーさんがおっしゃるように、小野寺選手のリベンジの瞬間を僕も観たいです。 しかし、申し訳有りませんが、同大学が活躍するのはあまり観たく無いですね(苦笑)
Posted by ちゃんちゃん at 2021年01月07日 08:07
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